
最強の結合を切る
Breaking the strongest bonds
Nature Chemistry, 2009年12月14日
Nature Chemistry(電子版)には、窒素分子や一酸化炭素分子に存在する既知の最強の化学結合を切断できる化合物が報告されている。切断と同時に違う原子との結合が形成されるため、有用な化合物を合成することができる。多くの重要化学物質を合成する際、このような豊富で単純な気体を利用できれば、化石燃料への依存を減らすことができるかもしれない。
P Chirikらが作り出した金属ハフニウム系錯体は、一酸化炭素を使うことによって窒素-窒素結合が切断されると同時に、新たに炭素-炭素結合と炭素-窒素結合が形成される。これに弱酸の形で水素を加えることによって、オキサミド(現在化石燃料から合成されている重要な農薬)を合成できる。
この合成プロセス全体が周囲温度で行われている。地球大気の78%を占める窒素の安定性を考えると、これは驚くべきことである。また、一酸化炭素は多くの金属と非常に安定な化合物を形成することが知られているため、一酸化炭素がこのような反応性を示すことは、さらに意外なことである。
3 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 21:27:40 ID:ZWdqzD1c
効率よく二酸化炭素を分解できるものが開発されないかな。
20 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 23:14:13 ID:T85cj9V9
>>3 つ 葉緑素
4 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 21:29:05 ID:v4PRFab7
これは期待出来るカナ?
5 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 21:29:15 ID:rD9gQtZA
すごいけど、ハフニウムって工業的に利用できるほど存在する?
9 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 21:43:30 ID:wVIgSlNQ
>>5
確か原子炉建設の際の副産物として出るから原子力発電がある限り問題ない。
22 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 23:30:42 ID:9fbszdkO
>>5
地球上に3ppmほど存在する
ちなみに金は3ppbの存在
6 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 21:29:32 ID:iBLAq3x6
窒素固定がさらに簡単になるの?
10 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 21:51:11 ID:CLsnuFnc
ハフニウムって原子炉の制御棒に使う材料だろ
副産物ではないような
14 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 22:20:43 ID:wVIgSlNQ
>>10
すまんそのとおり。
でも、もともと原子炉用ジルコニウムを精製したあまりだから。
11 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 21:55:06 ID:Rps7Znep
高誘電率材料(High-k)にも使うんだってよ
13 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 22:03:40 ID:UU7+ZYBQ
窒素を大量に消費したら、大気中のC02濃度は増すね。
15 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 22:24:12 ID:K8iEANMt
じゃあ、これをステップにすれば
二酸化炭素を酸素と炭素に分解できて
なおかつ炭素はダイヤに
二酸化炭素はオゾンとして有効活用できる時代が来るね。
16 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 22:48:21 ID:w2vwspUA
切断するときのエネルギは,周囲の温度を使うの?
17 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 22:56:08 ID:KyNuIhX3
この技術が一般家庭にも普及してきたら、暖房フル稼働での一酸化炭素中毒もなくなる?
18 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 23:06:30 ID:90P36x0F
N2は空気中にあるけど、COは何か燃やして出さないといけないな
27 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 23:55:49 ID:KyNuIhX3
>>18
生き物が呼吸すれば大丈夫
21 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 23:17:04 ID:v70h4NHR
外にわずかでも漏れ出したら大気ぜんぶの窒素が分解されてしまったりして。
24 :名無しのひみつ:2009/12/18(金) 23:37:35 ID:vEh+JmbV
シアン化合物も容易に作れると
30 :名無しのひみつ:2009/12/19 (土) 00:13:17 ID:/fgwiEkg
三重結合を簡単に引きちぎることが出来るようになったわけだ
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東京大学大学院理学系研究科の小林 修 教授らは、インジウム金属が
水中において炭素-炭素結合生成反応の触媒として機能することを発見しました。
水のみを溶媒として用いる炭素-炭素結合生成反応は、環境にやさしい
反応手法として近年活発に研究開発が行われています。これらの反応では
水中で分解することなく安定に機能する触媒の存在が重要であり、本研究
グループではこのような水の中で機能するルイス酸触媒)をすでに数多く
見いだしてきました。
その結果、さまざまな水中でのルイス酸触媒反応の開発することができ、
また触媒的不斉合成のような精密な反応制御を必要とする有機合成も
水中で行うことができるようになりました。
しかし、これまで用いてきた水中での触媒はいずれも金属塩で、単体の
金属をそのまま使用するのは困難でした。
インジウムは半導体の成分や液晶ディスプレイの電極などに用いられる
レアメタルで、単体であるインジウム金属=In(0)=は無毒なうえ水の中に
おいても安定ですが、炭素-炭素結合生成反応においては量論量反応に
のみ用いられ、触媒量で用いられた例はありませんでした。
インジウムは世界的に生産量が限られており、省資源やコスト面から
有機合成においては触媒量での使用が望ましいと言えます。
本研究グループは今回、種々のインジウム触媒について検討を行った結果、
単体のインジウム金属が水中において触媒量で機能し、重要な炭素-炭素結合
生成反応であるケトンのアリル化反応を効率的に進行させることと、使用した
インジウム金属が反応後の回収・再使用が可能であることを明らかにしました。
また、インジウム金属触媒が触媒的不斉合成にも展開できる可能性があることも
分かりました。この成果により、環境にやさしい水中での有機合成において
金属単体の触媒としての活用という新たな領域が開かれ、今後、省資源を
指向したレアメタルの触媒技術の確立につながると考えられます。

有機化学の研究分野においては、不安定な化合物や、合成が困難と考えられている分子をいかにして合成するかという課題に多くの化学者が挑戦し続けています。
少し前の話なんですが、2001年、理研有機金属化学研究室は、新しい有機金属化合物を世界で初めて合成することに成功しました。
地球には70種を越す金属元素が存在し、それぞれ異なる化学的特性を持っています。炭素原子を中心とする有機化合物とこれらの金属を複合させると、新しい機能を持つ化合物が創製されます。
同研究室では、二重結合が3つ並んだ構造を持つ「ブタトリエン」の簡便な合成法を開発しており、この「ブタトリエン」と遷移金属錯体である“低原子価ジルコニウム”を反応させたところ、今まで安定に取り出すことが不可能と考えられていた三重結合を持つ五員環のアルキル金属化合物という新しいタイプの有機金属化合物が生成されました。
新しい化合物は非常に安定であるとともに、X線による結晶構造解析の結果、扇形の5角形分子であることが分かりました。本化合物を用いることによって、今まででは考えつかなかった新しい分子化合物の創製や、新材料の開発が行われるものと期待されます。

この複雑な構造の分子をご存知でしょうか。これは、サンゴ礁の毒であるパリトキシンという物質です。
サンゴ礁に生息する無毒の魚が突然に毒化し、集団食中毒を起こすことがあるんですが、これは食物連鎖で、このパリトキシンが蓄積されることが原因ということがわかりました。このパリトキシンは毒性はフグ毒の20倍と非常に強く、非たんぱく質性の毒としては最強のもののひとつです。
1971年にハワイ大学の研究者によりスナギンチャクから発見されたが、そのスナギンチャクの住む入り江には、サメの歯を背中に持つ男を殺したために海水が毒を持つようになったという伝説があったといわれています。如何にこの化合物が毒性が強いかがわかると思います。
この構造を立体構造まで決定したのは平田、上村という日本人です。
さらにこのとんでもない化合物の合成をやってのけたのが、ハーバード大学の岸というこれまた日本人です。興味のある方は合成法など調べてみると面白いし、勉強にもなると思いますよ。

今回は全合成を紹介したいとおもいます。haouamine A はスペイン南岸産のホヤから単離された海洋アルカロイドです。この天然物はヒトのガン細胞に特異的また強力に細胞毒性を示すことが知られています。Haouamine はビアリールの大環状を含む構造で、注目すべきは芳香環に歪があることです。
この興味深い分子の初の合成が 2007 年に バラン らによって達成されました。
この歪があるベンゼン環は分子内 [4+2] 環化反応と続く脱炭酸反応によって上手く構築されています。
この合成を達成したバランとは、有機化学の世界ではすごく有名で、26歳という若さでスクリップスの助教授に就任したキレ者だそうです。18歳で最高の権威を誇る化学誌・JACSに第一著者の論文を執筆し、いくつもの芸術的な全合成を達成しています。
全合成の意義については賛否両論あると思いますが、こういった芸術的な合成をみると、学問ではなく芸術に分類してもいいぐらいと思えるような内容です。