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有機化学の話
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1 名前:主夫16号φ ★ 2010/07/27(火) 22:47:30 ID:??? 2BP(13)
鉄含む化合物、赤ワインで煮れば超電導
物材機構などが新現象発見

2010/7/27 21:22

赤ワインにつけて一昼夜煮込むと、電気抵抗がゼロになる超電導物質ができる――。こんな不思議な現象を
鉄などの化合物で発見したと物質・材料研究機構と科学技術振興機構が27日発表した。白ワイン、ビール、
日本酒、焼酎、ウイスキーでも同様の効果があったが赤ワインがもっとも超電導になりやすかった。

この現象を示すのは鉄・テルル・イオウの化合物で、もともとは超電導物質の性質は持たない。しかし酒に浸し、
セ氏約70度で24時間加熱すると鉄系の超電導物質に変化し、絶対温度約8度(セ氏零下265度)で超電導状態
になることが分かった。

もとの物質を超電導状態にする効果はアルコール度数による違いはあまりなく、酒の種類によって差がついた。
単純な水とエタノールの混合溶液に比べ、赤ワインは7倍近く効果が高かった。次いで白ワイン、ビールなどの順。
水、エタノール以外の成分が重要な原因物質とみて解明研究を進めている。

原因が分かれば高性能な超電導物質の開発に役立つ。超電導物質は電力損失のない送電線や蓄電装置など
幅広い応用が見込まれ、省エネに大きく貢献すると期待される。

ソース: 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E0E5E2E19C8DE0E5E2E5E0E2E3E29180EAE2E2E2
各種のお酒で処理した実験試料。ビンの底の小片が超電導物質
http://www.nikkei.com/content/pic/20100727/96958A9C93819695E0E5E2E19C8DE0E5E2E5E0E2E3E29180EAE2E2E2-DSXBZO1175052027072010000000-PB1-1.jpg

ご参考:
独立行政法人 科学技術振興機構 プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20100727-3/index.html
1 名前:白夜φ ★[sage] 投稿日:2009/07/08(水) 08:48:05 ID:???
東大、微生物で太陽電池-天然由来のみで発電
 
東京大学の橋本和仁教授らの研究チームは、緑藻などの光合成微生物と電流を
発生させる細菌(電流発生菌)と組み合わせることで電流を取り出すことに成功した。
エネルギーの仲介として微生物を使い光合成微生物から電気を取り出したのは初めてという。
水田や池などでの発電技術の第一歩として期待できる。
 
東大構内にある池の水を汲み、
窒素やリンなどを含んだ液体培地に入れ、酸素がない条件下で培養した。
培養液を炭素材料であるグラファイトフェルト電極と白金電極に接触させ、
培養液に光を照射すると電流が流れた。
 
光合成微生物が太陽の光エネルギーを糖などの有機物に変える。
この有機物を電流発生菌が食べて生成した電子を電極に渡すと考えられる。
従来、光合成微生物に光を照射するだけでは電極に電子を渡すことができず、
電子を仲介する化合物を入れる必要があった。

(掲載日 2009年07月07日)

▽記事引用元:日刊工業新聞(http://www.nikkan.co.jp/)
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0620090707aaab.html
研究とは、誰も知らないことや誰も見たことがないことを発見すること。

開発とは、研究で既に生み出さていることを集積・統合して製品を実現すること。


研究室に配属されると、
「研究」をやってる人
「開発」をやってる人
「研究開発」をやってる人

の3パターンがあります。

開発には少なくとも「知識の組み合わせ法の研究」という要素が
含まれ、一種の研究であるともいえます。

通常大学では研究、企業が開発というスタンスです。

基礎研→大学
応用研究→大学・企業
開発→企業


私の場合、修士を卒業した後、真理を探求したいというより、新しいものを作りたいというのがあったので開発に進みました。

大学の卒論、修論がなんの役に立つのかわからずにモチベーションが下がってる人も少なくないと思いますが、企業に入って開発職に就くとやりがいがあり、理系でよかったと思えると思います。



結晶系


有機・無機化合物が結晶となるときに「結晶多形」というものがあります。

つまり同じ物質が結晶化する場合でも、その結晶の仕方が違ということです(例えば、↑↑と並んでいたり、↑→、→←とならんでいたりなど)。


あの水ですら、6種類もの結晶多形をがあることがしられています。


この「結晶多形」の違いにより、同一化合物であっても溶解度や融点などが変わってしまうことがあります。


現在の化学技術ではこの結晶多形について経験則の域を出ず、その制御・理論構築が不十分です。


そんなことが何の役に立つかと思われるかもしれませんが、これを解明することで、様々なものに応用できます。

最近、固相反応の論文を読んだのですが、固相反応は分子同士が止まった状態で反応するので結晶構造に依存します。この結晶構造を制御できれば、特定の位置に結合させたりキレイに配列させることで、高収率が期待できます。

他にも、医薬品などでは「溶解速度」というものは医薬品の性質上、とても重要な要素ですが、つまりある医薬品が体内で1時間でとけるのと10時間かかるのでは、吸収のされ方が全然違う。


医薬品のような高付加価値商品にかけられる研究開発費用は、現在1品目につき約100億近いとされています。

にもかかわらずドラッグデザインや有機合成の進展に比べ、結晶多形についての研究は大変遅れています。

実際に研究途中では溶解度の高かった化合物が、研究が進み純度が上がった途端により安定な結晶形が出現し、石のような結晶になって打ち切りになってしまうことも少なくありません。

こういったただ結晶の形を解明するだけでも大きな科学の進展につながります。